ロイヤル・オペラ
ラインの黄金
Das Rheingold
ロイヤル・オペラ
ラインの黄金
Das Rheingold
オペラのオープニングを飾るのは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』にも影響を与えたとされる
ワーグナー畢生の大作『ニーベルングの指環』全四部作の「序夜」にあたる『ラインの黄金』
アントニオ・パッパーノ指揮、バリー・コスキー新演出で大胆に解釈した《ラインの黄金》。ロイヤル・オペラ・ハウスが4年かけて上演する、ワーグナー四部作『ニーベルングの指環』の第一章が幕を開ける。
オーストラリア出身のバリー・コスキーは現代演劇の考えと手法をオペラに大胆に持ち込み、時にはかなりの物議を醸しつつも、今や世界でもっとも忙しいオペラ演出家の一人。英国ロイヤル・オペラはワーグナーの四部作『ニーベルングの指環(リング)』の待望の新制作をコスキーにゆだねた。指揮は音楽監督としては今シーズンが最後の年となるパッパーノ。序夜《ラインの黄金》の初日が開くと、プレスと観客両方からの絶賛の嵐となった。
『ニーベルングの指環』は社会の縮図のようなオペラであり、その上演は時代ごとの問題を反映してきた。コスキー演出の舞台には、枯れ果てて残骸のようになったトネリコの大樹が舞台に横たえられている。そこに痩せ衰えた裸体の老婆(役者によって演じられている)の姿で表される大地の女神エルダがゆっくりと舞台を横切るところからオペラは始まる。大地の資源をもとにした富を人間のエゴが貪欲に求めた結果、地球の死が近づいていることを不気味に提示しているのだ。
音楽面も演出に負けない大きな充実を示した。パッパーノは『ニーベルングの指環』に書き込まれている様々な音楽テーマを丹念に浮き上がらせながら、エネルギッシュにワーグナーの真髄を表現。歌手たちは神々の長ヴォータンを歌ったモルトマンがアルベリヒ役パーヴィス(二人とも英国出身)と共に絶好調なのを始めとして、「まったく弱点がない揃って強力なキャスト」と評される充実ぶりだ。
PHOTO&MOVIE フォト&ムービー
STORY ストーリー
【STORY】
ライン河の乙女たちが〈ラインの黄金〉守っているところにアルベリヒがやってくる。醜い容姿をかえりみずに乙女たちに迫って手ひどく拒絶されたアルベリヒは怒り、「愛を諦めた男のみがラインの黄金から指環を作り世界を支配できる」と知ってラインの黄金を奪い去る。神々の長ヴォータンは妻フリッカの願いでもあったヴァルハラ城を建設するために巨人族に約束した支払いができず、彼らは借金のカタに豊穣の女神フライアを連れ去る。ヴォータンは火の神ローゲの入れ知恵で地底の国を支配しているアルベリヒをだまして指環を奪うが、指環の呪いを避けるようにという大地と知恵の神エルダの助言で指環を手放す。神々は完成した城に入場していく。
【音楽・台本】 | リヒャルト・ワーグナー |
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【指揮】 | アントニオ・パッパーノ |
【演出】 | バリー・コスキー |
【美術】 | ルーフス・デイドヴィスス |
【衣装】 | ヴィクトリア・ベーア |
【照明】 | アレッサンドロ・カルレッティ |
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団 | |
【出演】 |
ヴォータン:クリストファー・モルトマン アルベリヒ:クリストファー・パーヴェス ローゲ:ショーン・パニッカー フリッカ:マリーナ・プルデンスカヤ フライア:キアンドラ・ハワース エルダ(の声):ウィープケ・レームクール ドンナー:コスタス・スモリギナス フロー:ロドリック・ディクソン ミーメ:ブレントン・ライアン ファーゾルト:インスン・シム ファーフナー:ソロマン・ハワード ヴォークリンデ:カタリナ・コンラディ ヴェルグンデ:ニアフ・オサリバン フロスヒルデ:マーヴィック・モンレアル エルダ(俳優):ローズ・ノックス=ピーブルス |
【上映時間】 | 2時間57分 |