ロイヤル・バレエ

白鳥の湖

Swan Lake

  • 【振付】リアム・スカーレット (マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ原振付に基づく)
  • 【追加振付】フレデリック・アシュトン(3幕ナポリの踊り)
  • 【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
  • 【演出】リアム・スカーレット
  • 【美術】ジョン・マクファーレン
  • 【照明デザイン】デヴィッド・フィン
  • 【ステージング】ギャリー・エイヴィス、ラウラ・モレーラ、ケヴィン・オヘア
  • 【出演】出演】 
    オデット/オディール:ローレン・カスバートソン
    ジークフリート王子:ウィリアム・ブレイスウェル
    女王:クリスティーナ・アレスティス
    ロットバルト:ギャリー・エイヴィス
    ベンノ:アクリ瑠嘉
    ジークフリートの妹たち:イザベラ・ガスパリーニ、ミーガン・グレース・ヒンキス (1幕)ワルツとポロネーズ
    ミカ・ブラッドベリ、アシュリー・ディーン、レティシア・ディアス、ジュリア・ロスコ―
    ルーカス・B・ブレンスロッド、レオ・ディクソン、デヴィッド・ドネリー、ジョセフ・シセンズ
    (2幕/4幕)
    小さな4羽の白鳥:ソフィー・オールナット、アシュリー・ディーン、前田紗江、シャーロット・トンキンソン
    大きな2羽の白鳥:メリッサ・ハミルトン、佐々木万璃子
    (3幕)
    スペイン王女:ユー・ハン
    ハンガリー王女:ハンナ・グレンネル
    イタリア王女:前田紗江
    ポーランド王女:ジュリア・ロスコ― 
    スペイン:ナディア・ムローヴァ=バーレー、ハリー・チャーチス、ベンジャミン・エラ、ジャコモ・ロヴェロ、ジョセフ・シセンズ
    チャルダッシュ:ミカ・ブラッドベリ、レオ・ディクソン
    ナポリ:レティシア・ディアス、デヴィッド・ジュデス
    マズルカ:カタリナ・ニケルスキ。トーマス・モック

鮮烈で壮麗な愛の傑作
チャイコフスキーのあまりにも美しく心を揺さぶる旋律に乗せた、クラシック・バレエの不朽の名作『白鳥の湖』。2018年5月、ロイヤル・バレエ団によって31年ぶりに新演出によるプロダクションに一新された本作が、スクリーンに帰ってきた。
 従来の白鳥たちが舞う湖畔のシーンはそのままに、気鋭の美術家ジョン・マクファーレンによる絢爛たる舞台美術と初演当時弱冠31歳の天才振付家、故リアム・スカーレットによる新しい振付を加えたプロダクション。そして英国バレエ伝統の演劇性を強調した演出により、鮮烈で壮麗な愛の傑作が誕生した。王座を狙う女王の側近が悪魔ロットバルトで、パ・ド・トロワを踊るのはジークフリートの姉妹、そして友人ベンノとは特別な絆で結ばれているという設定。それまでの作品においても特徴として見られたスカーレットらしいダークで悲劇性の強いバージョンとして、高い評価を得た。

日本人ダンサーの活躍に注目!
2022年5月19日に収録された今回のシネマでは、昨年の出産から舞台復帰を果たした英国バレエ界の名花、ローレン・カスバートソンがオデットとオディールを繊細に、詩情豊かに演じる。ジークフリート王子役は、映画版『ロミオとジュリエット』のフレッシュなロミオ役で人気が急上昇し、この5月プリンシパルに昇進した新星ウィリアム・ブレイスウェル。女王の側近で、その正体は悪魔ロットバルトを、ロイヤル・バレエを代表する名優ギャリー・エイヴィスが持ち前のカリスマ性で重厚に演じる。
 王子と友情を越えた強い絆で結ばれている友人ベンノ役には、日本出身で躍進が続くアクリ瑠嘉。また大きな白鳥の一人には、『くるみ割り人形』の薔薇の精などで抜擢が続く佐々木万璃子、小さな4羽の白鳥の一人と、イタリアの王女には注目の前田紗江。この他にも随所に日本人ダンサーの活躍が見られる。
 
今回の公演はローレン・カスバートソンのロイヤル・バレエ団在籍20周年を記念し、特別なカーテンコールが行われた。
指揮のガブリエル・ハイネはモスクワ音楽院を卒業後、長年マリインスキー劇場専属指揮者としてバレエやオペラ公演を振ってきた。このたびのロシアのウクライナ侵攻でロシアを脱出し、出身地の米国に本拠地を移しつつも国際的に活躍している。本場のチャイコフスキーを指揮してきた彼の『白鳥の湖』にも注目してほしい。

【STORY】1890年代、女王の側近に化けた悪魔ロットバルトに操られた宮廷が舞台。花嫁を選ぶことを強いられている悩める王子ジークフリートは、白鳥の姿に変えられたオデット姫が夜のひと時、人間に戻る様子を見て恋に落ちる。オデットは誰も愛したことがない者の真実の愛の誓いだけが、この呪いを解くことができると語る。だが結婚相手を選ぶ舞踏会で、ジークフリートはオデットと、瓜二つの妖艶なオディールに魅せられ、愛を誓ってしまう。ロットバルトは悪魔の正体を現し、オデットへの誓いは破られた。裏切りを知ったオデットは絶望し、死ぬことでしか呪われた運命からは逃れられないと悟る。許しを乞う王子は湖畔にやってくるが…。