NEWS

映画公開を記念して、海洋に関する基盤的研究開発を行っている文部科学省所管の国立研究開発法人である海洋研究開発機構(JAMSTEC)とのコラボが決定!

jamstec%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc-%e6%9c%80%e7%b5%82

コラボビジュアルの制作の他、この度原作者・五十嵐大介先生と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門部門長の高井研氏によるスペシャル対談が実現!

「海獣の子供」の世界観に大きな影響を与えた“海”そのものや“深海”を切り口に、原作者の作品への思いや海に関する最先端の研究についてなど、いろいろと興味深いお話を伺いました!

%e3%82%ad%e3%83%a1%e2%91%a0

<アーティスティックで詩的な作品の世界観>

高井研氏(以下、高井):まず原作を読ませていただいて、とてもアーティスティックな作品だと感じました。普通、少し現実離れした作品だと、説明を書きたくなるじゃないですか。ところが「海獣の子供」ではそれをまったくすることなく、なんかこう、詩的に伝えてくるなぁと……。

五十嵐大介先生(以下、五十嵐):そう言っていただけるとうれしいです。

高井:描かれていることも、実は僕らがやっている研究と近いんですよね。例えば宇宙から“命のもと”が飛んできて、深海で混ざり合って……、まさに僕らが研究しているようなことが展開されていく。でもそれを科学的に言わずに、あくまで詩的に表現していくのがとても印象的でした。

五十嵐:ありがとうございます。

高井:もう抜群に映画向きの作品だと思いました。映画でも五十嵐先生のアーティスティックな部分がとてもきれいに表現されていて。原作の文字や説明がない部分を補って、ギュッと凝縮したものが今回の映画なんだと思いました。これは、僕たちのような理系の研究者だけでなく、文系の人にも伝わるなと。こと細かく説明するのではなく、なんとなくの説明でわかるっていう。

五十嵐:はい、そうですね。だからあまりこう、すごく描写を理解しようって思って観るよりは、“浴びる感じ”っていうのかな。感じるように観ていただく作品なのかなと思っています。

高井:そうですね、浴びる感じです!僕らも実は、細かいことが言いたいんじゃなくて、海ってすごいんだよ、おもしろいんだよと言いたいだけなんです。だから僕たちと、とてもマッチングがいいなと。現実の海の世界を、こういう風に描いていただけることが。海への興味をかき立てる作品で、しかも一番ほど遠いと思われるアートなところからっていうのが、とてもいいなぁと思いました。

五十嵐:そう言っていただけるとすごくありがたいです。実はこの作品を描くにあたって、当初はそういう科学的な頷きみたいなものは考えずに始めたんです。なので、そこをいろいろと言われてしまうと、困るな とは思っていたんですね。

高井:いや、もう全然!むしろ中途半端(に論理的)なほうが、いろいろと言いたくなります。僕の論文のあの部分を引用しろ、あの部分をもっと勉強しろって(笑)

<美しい海辺が印象的。作品の舞台設定は?>

高井:ところでこの作品の舞台ですが、どこをイメージして描かれたんですか?
原作を読んだとき、僕は千葉とか茨城とか、もしくは東北とか……そのあたりの海をイメージしたんですが、映画はバリバリ湘南なんですよね。湘南らしい街並みや電車の描写が、とても印象的でした。

五十嵐:そうですね。実は原作はかなりいろいろな海をもとにしているんです。私自身、鎌倉に住んでいるので、そのあたりも描いています。風景も、これまでに行ったことがある、いろいろな街を混ぜこぜにして、地名も実在していない名前にしています。

高井:なるほど。だから原作はときどき瀬戸内海っぽい感じもあったりするんだ(笑)

五十嵐:漫画だとコマごとに風景が変わっていても比較的大丈夫なんですが、映画の場合はつながりが見えてこないといけないので、より舞台設定がしっかりしているんだと思います。漫画の場合、隣り合ったコマでもそれぞれ別の地域の風景を描いてしまう、なんてことも結構あるんですよ。例えば 1巻は、伊豆や三重のあたりの風景を混ぜています。

%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%ab%e3%83%83%e3%83%88

<芸術も科学も、大切なのは好奇心と想像力>

高井:作品には、とてもピュアな研究者、ジムとアングラ―ドが出てきますよね。僕のイメージでは、ジャック・イヴ・クストーのような、アカデミックとしてはカチッとしていない、海洋探検家のような研究者なのかなと思ったのですが。

五十嵐:はい、そうです。科学的な研究者というよりは、むしろ冒険家に近いイメージにしています。

高井:原作の3巻あたりから、この海洋学者たちのエピソードが入って来たりしますよね。僕のお気に入りポイントなんですが。やっぱりちょっと、うんちくが入ると楽しいです。

五十嵐:うんちくは、できればあまり入れたくなかったんですけど(笑)

高井:そうでしょうね。昭和の時代、テレビ番組は今よりもっと、不思議とか謎の解明とか、そういうものを扱う番組が多かったですよね。例えば「水曜スペシャル」の探検隊シリーズとか。今は全然なくなってしまったけれど……。

五十嵐:それこそUFOとかですよね。少し怪しいなとか、胡散臭いなとかいう部分も含めて、興味がひかれますよね。

高井:そうですね。特に子どもたちは、あれにめちゃくちゃ引き込まれるんですよ。僕が研究者になったのは「水曜スペシャル」のおかげですから(笑)

五十嵐:はい、わかる気がします!(笑)

高井:今はインターネットで調べたら、すぐに真実にたどり着いてしまう。でも昔は、大人も子どもも、誰も知らないことをテレビで見て「うわ、すごい!」ってなっていましたよね。みんなでワクワク、ドキドキして。

五十嵐:そうですね。だから、原作も科学的なものにあまり寄り過ぎないようにしています。映画には出てきませんが、原作では「海に纏わる証言」として、謎めいた短いエピソードを挿入しています。いろいろなイメージを掻き立てられたらなと思って。

高井:僕も原作を読んだときに、人間の好奇心とかワクワク感を広げる、重要なファクターだと感じました。「水曜スペシャル」を連想しましたね。

五十嵐:それはうれしいです。はやり、人間のイマジネーションを広げるような何かがないと、結局は真実にたどり着くまでに、遠回りしてしまう気がするんです。

%e8%a6%8b%e5%ad%a6

高井:それと、真実に近づける人が、(科学者など)そういった職業の人だけになっちゃうんですよ。それが結果として、一般人と科学の乖離を生む。これは有名な話なんですが、科学的にはもう「魚類」という分類はないんです。

五十嵐:え、そうなんですか?

高井:でもみんな、魚は魚類だって思っているでしょう? それが突然、魚類は科学的にはないよと言われたら、興味のある人は「なんで!?」と調べるでしょうけど、さほど興味のない人からすると、科学って自分に合わないなとか、難しそうだからもういいや……となってしまう。自分のイメージとかフィーリングと合わないと思った時点で、科学との断絶を生んでしまうんですね。するともう、自分で感じたり考えたりせずに、わからないからプロに任せよう、というスタンスになってしまう。

五十嵐:なるほど、そうかもしれませんね……。

高井:だからあまりにも理解しがたいことを事細かに説明しちゃうのも良くないというか。まさしく、この作品のように「不思議だよね」ということを、ふんわりと与えるっていうことも大切だと思うんです。
そういう意味ではたくさんの人に観て欲しいです。

五十嵐:そうですね、そういう風に役に立っていただければいいですね。あまりいろいろと説明しちゃうと、しばらく経ってから新しい発見があったときにひっくり返ってしまって、作品が読めなくなってしまうのも怖いなという思いもありました。

高井:それは、最初から意図されていたのですか?

五十嵐:はい。それにあまり調べきれない部分も当然あるので。だからそこに踏み込んでもしょうがないかなっていう思いもありましたね。

高井:素晴らしい戦略ですね。「海獣の子供」は何作目なんですか?

五十嵐:ちゃんとした長い連載は初めてだったんです。短い作品をずっと描いていたので。

高井:漫画家になられたのは、いつ頃で?

五十嵐:デビューしたのは、1993 年です。

高井:作品の雰囲気やテーマは、ずっとこういう感じなんですか?

五十嵐:そうですね。もともと、不思議な感じというか……、遠野 物語とかが好きで。科学もオカルトもファンタジーも、自分の中では割と同じような立ち位置なんです。

高井:僕もそうですよ。最先端の研究者が、オカルトを信じていますから(笑)

五十嵐:そうなんですか、意外です!

高井:オカルトみたいなものって、すべて科学的に説明がつきます。でも、説明できるからと言って、納得できるわけではありません。恐怖は残る。子供のころ、「水曜スペシャル」で培われた「怖い」という感情は消えないんです。でも、そんな科学に侵されていない自分を喜んでいるふしもあるんですよ。

<生命の起源と未知を求める高井さんの研究>

五十嵐:高井さんが、深海に研究テーマを絞られたのはなぜですか?

高井:それは、一番わかっていないからですね。僕は、自身のことを“知の冒険家”だと思っています。
実験室で研究をしていると、脳の中でしか冒険できないですが、現地での冒険もしたかった。その点、JAMSTECは、実験室での冒険と具体的な冒険が一緒にできる、世界的にも優れた研究所です。
最初は、しっかり実験室で研究をしている方にも勝てるくらいちゃんとしたサイエンスをやりながら、フィールドワークにも力を入れていこうと思ってやり始めたんですが、今はもう、フィールドワークだけでいいです。それくらい、現実の世界はおもしろい(笑)

五十嵐:そうなんですね! 高井さんは、熱水生物 研究の第一人者ですよね。

高井:深海には、熱水噴出孔というものがあります。300度を超える熱水が湧いていて、そこには深海熱水に特有の微生物や動物がいます。そこに生息する微生物が、太陽光がなくても、熱水に含まれる硫化水素やメタンなどをエネルギー源として有機物を作り出すんです。1977年に発見されて以来、この環境こそが生命の起源だと注目を集めています。「海獣の子供」で描かれているような深海の生命に共通するような生命活動の共通法則みたいなものを自分の中で見つけて、論文という形にできました。その研究については科学論文として書き切った感があり、地球の熱水は制覇したと思えたんです。生命の起源は、深海熱水で決定していると言っていいぐらいに。なので今は、人類がまだ完全に理解できていない、超深海海溝に挑戦しています。

6k0659in0013_%e7%86%b1%e6%b0%b4%e5%99%b4%e5%87%ba%e5%ad%94-mimi

(↑ インド洋の深海底の熱水噴出孔。黒い煙のような“熱水”がふき出している)

五十嵐:超深海海溝……どういうところでしょうか?

高井:海って、基本的に平べったいんです。太平洋のほとんどの場所は水深5000mの深海平原、地球全体の海の平均水深は3800mになります。深海といっても、水は回ります。世界の海広しといっても、しょせん数千年に一回は混ざるので、その状態は一様です。ところが、そこに5000mくらいの海底から切れ込みが入った場所、海溝や断裂帯、があります。しかも切れ込みの幅が狭くて、水が回らない。

五十嵐:そうか、上の方だけは水が回るけど、切れ込みの部分は溜まったままになるんですね。

高井:はい、混ざらないので独自の世界ができているんです。今現在の世界に存在しながら、数万年、数十万年のレベルで隔離されているかもしれない。海嶺(かいれい)という海底地形をご存じでしょうか? 海底が割れてマグマ活動により海洋プレートが形成されるところです。海嶺のなかに形成される横ずれ断層と呼ばれる部分では、スパーンとカミソリで切ったかのようにV字の切れ込みが入り、超深海になっているところがあります。その横ずれ断層の一番下のマントルまで切れているような場所に、まだ誰も知らない地球内部のエネルギーに依存した生態系があると思っています。
まさに、地球のラストフロンティアですね。我々の今の世界と隔離された世界がある。その隔離された世界を明らかにすることに興味があります。

五十嵐:なるほど。それは未知の世界ですね。

高井:生命の起源については、もうライフワークです。僕に残された時間は少なく、自分の人生では解ききれない。僕は、ここまで道を切り開いた1人の人間として死ねばいいと思っています。それがある意味、研究者としての幸せです。
その代わり、研究は脈々と続いていって欲しい。そして、最後に誰かが解いてくれれば、ね。

そして、もう1つ。
冒険家としては、誰も行ったことのないところに行って、誰も見つけたことのない生物を見つけられるとおもしろいな、と。おもしろいだけじゃなく、未知の生物には、きっと我々を本質的に理解する“カギ”が隠れているでしょう。

五十嵐:ロマンですね!極端な環境の生物を研究することによって、それこそ、他の惑星の生物の発見にもつながるんじゃないかと……。JAMSTECは確か、JAXAにも協力されていますよね?

高井:JAXAもそうですし、NASAとも協力しています。土星探査機のカッシーニによって、土星の衛星エンケラドスの氷の地表から水蒸気や氷が噴出していることが確認されました。つまり、地下に海があり、熱水活動が起こっているかもしれないんです。海、そして、熱水ということで、JAMSTECに白羽の矢が立ちました。

五十嵐:しかし、生きているうちに宇宙へ行くのは、なかなか難しそうです。惑星からサンプルを持ってくるといっても、本当に一部分がせいぜいでしょう。

高井:でも、見ることはできると思うんですよね。10年、20年では難しいかもしれませんが、映像で地球に届けることは可能だと思います。我々は行けないけれども、まったく未知の世界をのぞき見ることができるかもしれない。
僕としては、宇宙にも海があるってことがわかったことで、地球の海のその先の世界が見つかった。これは、すごく良かったなと思っています。
人間って行けるとなると絶対行こうとするじゃないですか。そういうものが、世の中を変えていく原動力になる。行くべき水平線や先があるっていうのは、人間にとってはすごく幸せなことですよね。

五十嵐:本当にそうですね。

<海と宇宙、そして生命を描いた理由>

%e3%80%90%e3%81%94%e5%8f%82%e8%80%83%e7%94%a8%e3%80%91%e5%8e%9f%e4%bd%9c%e6%9b%b8%e5%bd%b1%ef%bc%881%e5%b7%bb%ef%bc%89-mini

五十嵐:実は、「海獣の子供」を描くにあたって、何か壮大なテーマを掲げたわけではないんです。海の生物をたくさん描きたいな、というのが動機でして……。生命の起源、みたいなところが出てきたのは、私の普段の興味関心が勝手に出てきちゃっただけなんです。

高井:僕も読んでいてわかりました(笑)描いているうちに、自分の中で話がどんどんつながっていって……という感じですか?

五十嵐:本当にそんな感じでした。連想ゲームのようにどんどん作っていくと、自然と発想がつながって広がっていく。それが、描いていて一番楽しい部分だったりします。

高井:やはり芸術家ですよね。計算ずくじゃない。

五十嵐:生き物を描いていく中で、似ているものを隣に置いてみたりして、つながりそうな点を探したりしましたね。深海と宇宙って、やっぱり似ていると思うんです。

高井:海はもともとお好きなんですか?

五十嵐:海に対しては、特別な興味があったわけではないんです。初めて沖縄旅行に行ったとき、せっかくだからと東京から那覇まで船で行きました。飛行機と違い、何日もかかるわけです。距離を肌で感じながら、海と空をずーっとぼーっと見て過ごしました。あくせくした生活から、違う時間の流れの中に入っていって、ただただ美しい景色を見て……そのときに感じた感覚を描きたいなと思ったんです。
特に奄美大島を過ぎたときに、ガラッと海の色が変わった。すごくきれいな青で、青自体が光っているようでした。西表島にしばらく滞在したんですが、磯にパシャパシャと入って行くだけでも、今まで見たことがない熱帯魚とかがたくさん泳いでいるし、サンゴも見られるし。
それで海の世界に興味を持ち、まずは「魚が描きたい」と図鑑を購入しました 。

高井:きれいなものを見ると、描きたくなるんですね。

五十嵐:本当はもっとたくさん 描きたかったんです。でも、なかなか連載の締め切りとか間に合わなくて(苦笑)

高井:図鑑以外に、何か参考にされたんですか?

五十嵐:深海生物や深海風景は、テレビのドキュメンタリーや映画などを参考にしました。ほかにも、深海生物の本や図鑑などを見たり。あとは新江ノ島水族館の深海生物の展示は今もよく見に行きます 。そういうものを参考にしつつ、あとは想像力を働かせて描く、といった感じです。

高井:特に描いていて楽しい生物はありますか?

五十嵐:深海の生物がおもしろいと思いましたね、特に、ハオリムシ。内臓っぽい見た目から、イメージが湧いて……。例えば、人間とかだと、皮膚があることで外の世界と一応分かれて いるんですけれども、ハオリムシが内臓だとしたら、外の世界、つまり海の水と隔てる部分がない。ハオリムシとハオリムシが接している周辺のものとが、ぼんやりとした生命体として見えてくるというか。生態系がひとつの生命に見えてくるんです。

hpd0400out0450-mimi

(↑ 熱水噴出孔の周りにびっしりと生息するゴエモンコシオリエビ)

高井:海の生物の一番の特徴は、水と水なんですよね。我々、陸上の生物は、体内の水を閉じ込めるために皮膚を作らざるをえない。一方で海の生物は、体内も水、外の世界も水だから、ごく薄い隔壁でいいんですね。だから、クラゲとナマコとかは、海に溶けてるような感じですし。
陸上は、重力と空気という物理的な制約がありますが、海の生物は形に制約がない。そういう意味では、芸術点が非常に高くつきやすい。

五十嵐:本当に不思議ですよね、生物の形って。

高井:エンケラドスの海の中の映像が見られたら、おもしろいと思うんですよね、絵描きの方からすると。
もしかしたら、とんでもない形の生物が存在するかもしれない。しょせん我々は、地球の生物なので。

五十嵐:全然環境が違いますから、想像を絶するものがあるかもしれないですね。ワクワクします。

高井:鳥と飛行機が違うように、もとより機能を持つものと最適化したものは異なります。しかし、生物から発想を得たものが、人工物の役に立っていることもありますね。
見たこともないものを見つけるっていうのは、9割無駄でしょうけど、1割ぐらいは何かが劇的に変わる可能性を秘めています。これは、重要な点です。

五十嵐:革新的なものが生まれるかもしれないですもんね。

<“浴びる”ように感じて映画を見て欲しい>

kk_poster_blue_fix

五十嵐:さっきも言いましたが、 この映画は、論理的に、ロジック的に理解しようとするんじゃなく、映像と音楽を浴びるように楽しんでいただけると、感覚的に言いたい事がイメージできる、伝わる気がするんです。
考えながら見るんじゃなくて、感じて欲しいですね。シャワーを浴びたり、風に吹かれているような感じで見ていただけると、楽しめるんじゃないかと思います。

高井:おっしゃるように、浴びて感じて欲しいですね! 海の世界をこういうアプローチで表現していたことが、僕としてもすごくうれしいです。

%e3%82%ad%e3%83%a1%e2%91%a2

海洋研究開発機構(JAMSTEC)とのコラボでは、今後も映画『海獣の子供』を実際の深海調査から解説記事も掲載予定です!

乞うご期待ください。

《プロフィール》

■五十嵐大介
1969年生まれ。1993年、「月刊アフタヌーン」(講談社)にて四季大賞を受賞し、デビュー。主な作品として文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『魔女』や、小説家・伊坂幸太郎氏との競作描き下ろし作品『SARU』(小学館)などがある。2002~05年の『リトル・フォレスト』(講談社)は日本と韓国で実写映画化された。2009年には、初の長編作品『海獣の子供』で日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。最新作は『ディザインズ』(講談社/2019年、完結巻発売予定)。

■高井 研
海洋研究開発機構(JAMSTEC) 超先鋭研究開発部門 部門長。1997年、京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興事業団科学技術特別研究員などを経て、2019年より現職。専門は、深海や地殻内といった地球の極限環境に生息する微生物や生物の生理・生態や、その生態系の成り立ちと仕組みの解明、および生命の起源や地球外生命の存在についての研究にも取り組んでいる。宇宙生物学者。地球微生物学者。

 

撮影/杉森雄幸